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「すぐそこにある希望」 絶望する村上龍のエッセイ [書籍]

本屋で、題名に騙されて、買ってしまった、村上龍さんのエッセイ本。
村上さんの小説は、いくつか読んだけど、詰まらなかったというのに。
2007年7月7日初版だけど、内容は、2006年の古い記述がメイン。

北朝鮮、国内政治、老人、趣味、サッカー、映画、等々、テーマは、
多岐にわたっているが、思想の統一性は感じられず、流行を追っている
いわゆる『人気作家』の手慰みに、思えた。

全体的に、感じたのは、問題提起に終始していて、村上さんの解析や
提案や考えは、明確に提示されないのが、不満だった。
例えば、大手既成メディアの論調の不十分性を、いたるところで非難し、
自分だけが、本質に気づいているように、書いている。

しかし、大手既成メディアにも、村上さんと同等以上の優秀な人材は
たくさん、いるはずで、本質に、気づかないはずは、無い。
だから、なぜ、大手既成メディアが、そうであるのか、一歩突っ込んだ、
コメントが欲しかった。

私は読んでないので、よくわからないが、「半島を出よ」という小説を、
村上さんが書いて、彼は、北朝鮮問題に、かなり、ご執心である。
確かに、北朝鮮が、核ミサイルを打つとしたら、その標的は、
日本しかないことは、言われるまでもなく、良く分かる。

だから、どうすべきなのか、村上さんの意見は、ちっとも、分からない。
拉致問題よりも、核問題を優先させろ、と言っているようだが、
大手既成メディアと同じように、村上さんの、歯切れが悪いのは、
一体、どういうわけだ。大手既成メディアを非難する資格は、ないのでは。

老人問題も、貧乏な老人が、病気になったら、高価な先進高度医療を
受けられないのは、可哀相だ、と指摘するに止まり、
その解決策は、不問のままだ。自分が、金持ちなので、
貧乏な老人のことは、「そんなの関係ない! オッパッピー!」の
無責任スタンスに立脚しているようで、呆れてしまった。

現代を象徴するキーワードは、「趣味」で、「洗練」で、「なぞる」
ことだと、村上さんは、しつっこく、指摘している。
その指摘は、まあ、妥当だと思うけど、あまりに普遍化しすぎているのは、
行き過ぎだと思った。
世の中には、「趣味」で仕事をしていない人々も、たくさんいると思うが、
そういう人々のことは、ばっさり、切り捨ててしまっている。

映画評論は、外国かぶれの村上さんに相応しく、洋画ばかりが対象だ。
日本人なら、まず、邦画にふれて欲しい、と残念だった。
その洋画の評論も、評論と呼べるものではなく、内容が無かった。
「プライベート・ライアン」は、私も好きなアメリカ映画だけど、
村上さんは、その音響効果にしか、興味が無いようで、白けてしまった。

シンドラーの思惑はどうであれ、「真実は、常に、具体的」なので、
客観的に、ユダヤ人を救ったことは、記憶されるべき行為だろう。
そして、人道的な行動や行為というものは、ア・プリオリに、
人道主義でいこうとして、成し遂げられるものでは、ないことも、
当然といえば、当然だ。

「シンドラーのリスト」という映画に関する、村上さんの記述を
読んでいると、まさか、村上さんは、人道主義者を目指してるのか、
と、驚いてしまった。村上さんは、単なる売文作家に過ぎないのに。

外国人はともかく、日本人に、「謝罪」は、必須だ。
また、日本人は、「NO」をはっきり言わないのは、世界中で知られている。
こんな当たり前のことを、村上さんは、指摘してみせたが、
その理由については、ウヤムヤのままだ。

村上さんは、アメリカの凶悪な大量射殺事件を取り上げ、
この犯人の気持ちが、分からないと、困惑してみせた。
しかし、もし、私が、犯人の気持ちが分かったら、過去に、同じ事件を
起こしていても、おかしくない、と、マジで、そう思う。

だって、好きな女性にヤキモチを焼いたのが、キッカケらしいから。
大事なことは、凶悪犯人の気持ちが分からないからこそ、それでいいのだ、
ということなので、村上さんは、そこのところが、理解できないようだ。

最後の部分で、村上さんは、現代日本社会は、
「どういう風に生きればいいのか」という質問に、
回答を与えない社会だと、嘆いている。

しかし、自分の生き方は、他人が与えるものではなくて、
自分で見出していくものだ。村上さんが、その役をしようとしているなら、
それは、そうとうな思い上がりといわざるを得ない。

上記の問いに、私が答えるとしたら、現在のメジャーな生き方をしないで、
マイナーに生きるのが、正しい生き方と、いうことだ。




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